認知症の方の、行動障害、生活改善は、睡眠を観察し夜型から昼型の生活習慣を取り戻すことが最大のカギになる。

認知症の方を中心に、周りの人が頭を抱える共通問題

認知症の方を長い間支援させていただいてるなかで、少なくとも7〜8割のご家族、老人ホームなどが抱える共通問題があります。

ほとんどの認知症の方が老人ホームに入所なされる場合、共通してある行動障害をあらわしています。それは睡眠の障害です。

多くのご家族や現場の職員はこの様子を「不眠で夜中まで徘徊するから手がかかる」といった印象をお持ちのようです。

不眠なの? それとも極度の夜型人間?

夜中に、一睡もせず、活発に活動される日が続けば誰でも思います。不眠症かもと。だいたい夜寝てもらえないため、行動を物理的に、施錠などの方法で制限しなければならなくなります。家族の手に負えなくなると施設のショートステイ、老人ホーム入所の経緯となるわけです。

ショートステイでは、本人や他の利用者の安全を理由に身体拘束的処置が取られる場合が多く、それが非合法に行われていれば(合法でも)他の行動障害を顕著に併発して、自傷、他傷、不潔行為など、非常に難しいケースとなり、最後に老人ホームに入所になります。

家庭でも、ショートステイでも、老人ホームでもその方の問題の根源は睡眠になんらかの障害があるということです。そこから付加的に問題が複雑化しているような印象です。

つまり、その対象者の睡眠事情について一度しっかり検討するべきではないかということです。対象者の睡眠をしっかり観察すると、ほとんどの方が、寝てないのでなく昼間分散して睡眠をとっていることがわかります。いわゆる夜型人間です。これは家族も老人ホームの現場の職員も気づいてる場合が多いです。

夜型なら昼型に直せばいい。

しかし、ある理由によりその方の睡眠事情を積極的に改善する試みはおこなわれません。

なぜ夜型を昼型に変えたくないのか

夜寝ない人の昼間を観察すると、少なくても4時間以上、だいたい5〜6時間以上の睡眠を、うたた寝やお昼寝的に確保しているのがわかります。

徘徊や他の行動障害を抱えている場合、この静かにお昼寝している時間や、うたた寝しているところをあえて邪魔する家族介護者や介護職員はいません。その方に邪魔されず、他のたまった仕事に精を出すことがやっとできるからです。だからあえて寝た子を起こすことはしません。むしろ奨励されたりします。若い職員が離床させようと声かけしようものなら、先輩介護員から強い視線が飛んできます。「余計なことすんなよ!」みたいな。ま、想像ですけど。

夜型を昼型に変えなければ、本当のその人らしさはわからない

老人ホームにこういう方が入所した場合、この睡眠の問題を解明し昼型の生活に改善する取り組みを推奨します。

危険人物、行動障害が顕著として入所した方が、数ヶ月かけて睡眠の改善を行った結果、家庭でも誰かの援助があれば十分生活できるくらいに回復したケースは複数あります。だいたいの方になんらかのADLの改善が見られます。

もし手を焼くほどの認知症の方が入所したら、その人の睡眠の状況を詳しく観察して、嘱託のドクターと相談して、睡眠の改善をはかってみる。

ぜひ試してみてください。老人ホームは、規則正しい生活習慣を大切にできる施設です。認知症の方にも規則正しい生活はとても重要だと思います。